ボードゲームのインスト考察
インストの重要性
インストとはインストラクション(instruction)の略で
ルール説明を意味するゲーマー用語です。
ボードゲーム(以下ボドゲ|ゲーム)は幾千幾万もの種類があるのと
そのほとんどが複数人で遊ぶことを前提としたゲームのため
遊ぶ前にこのインストが必須で多くの場面で行われることになります。
(リピートの場合は不要) ※リピートの重要性について別記事にしました(リンク)
ボドゲのインストが成功すると、(頭悩ませながらも)楽しく充実した一時がおくれる果実がある一方
失敗してしまうと卓を囲んだ全員がもやもやした時間を過ごす苦い経験になります。
初めてのインストで失敗するとその体験がトラウマとなって
その後インストやボドゲ自体から遠ざかってしまったり
ボドゲを始めたばかりの人が同卓した場合は
「うーん、ボドゲってよくわからないしつまらない」
とボドゲそのものから遠ざかってしまう可能性もあります。
- ボドゲは結構遊んでいるけど自分でインストはまだやったことがない。
- インストはとても重要なのでなるべく成功したい。
- 失敗したとしても軽傷ですむようにしたい。
- 上手にインストができるようになって楽しいボドゲ遊びの機会を増やしたい。
- インストができる・楽しめるボードゲーマーが増えるといいな。
私含め、そんな心持ちの人向けに書いています。
インストを困難たらしめるもの
ボードゲームスペースの店長なのにこんなこと書くのもなんですが
私はこのインストが実に厄介・大変、と同時に奥深くて達成感に繋がるものと考えています。
その理由としては
- 一つのルール間違えでプレイ体験が大きく異なる(大抵損なう)ことがある
- ボドゲの中にはプレイ時間が数時間に及ぶものがある
終了条件間違えで本来よりも長く(だらだら)なってしまうことも。 - 説明書通りに読み上げていくだと同卓者はおろか自分ですら分からない事態になる。
説明書は1冊のみなので大抵の場合インスト者のみが読むことになる。
その場で調べ始めると同卓者を待たせてしまっているというプレッシャーがのしかかる。 - 一緒するメンバーのボドゲ歴にバラつきがある
全く同じ説明をしても人によって
おおまかなメカニクスを知っているかや、似たようなゲームをやっているかなどで
勝ち筋を模索しながら楽しめるかが異なってくる。
インストの成功率を上げて失敗ダメージを減らすには
インストの成功を次のように考えています。
同卓してくれた人がそのゲームの魅力や仕組みを把握しながら遊んでくれた。
「楽しかった」や「またやりたい(リピートしたい)」と言ってくれたら大成功。
- インストしやすいゲームのインストをする
インストが短時間(10分程度)かつ難解ではないゲームを行うと
ルール説明漏れや同卓車が理解できない可能性がぐっと減り成功率が上がります。
また、もし失敗してしまったとしても1プレイが短時間なら
「ドンマイ!もう一回やってみよう!」という感じになります。
BoardGameGeekのweightが1.5未満が目安です。 - (慣れるまでは)インストしにくいゲームを避ける
インストしにくいゲームとは
・プレイ時間が長い
・メカニクスが複雑
・カードやタイル、キャラクター固有能力などのボリュームが大きい
・インタラクション(他プレイヤーへの関与)が強い
・ゲームやルールブックの出来そのものが良くない(配色や表記など)
などの要素をいくつも兼ね備えているものです。
逆にこれらのゲームのインストができるようになったら凄いです。 - 既にそのゲームをやったことがある人やベテランに同卓してもらう
普段だとベテランの方がインストすることになるのですが
敢えてサポートに回ってもらう感じです。
困った時に聞ける人がいるだけで大分気持ちが楽になります。
初プレイの人と経験者の差が開きすぎると気まずいので
経験者であることを伝えるのと初プレイの人へのフォローを心がけます。 - 気心の知れた知り合いにインストしてみる
失敗しても笑って流せるのでインストはじめにおすすめです。
プレイ時間2時間を越えるようなゲームだと完遂まで行けなくて流石に気まずいので注意です。 - 予防線を張る
これは特に初めてボードゲームに触れ始めたばかりの人が同卓する際に
インスト失敗とボードゲーム自体がその人の好みに合わなかった時に備えて
”ボードゲームそのもの、全体”の評価に繋がらないように前置きする感じです。
「ボードゲームはもの凄いたくさん種類あってこのゲームもそのうちの一つだから
このゲームが合わなくても色々あるから試してみてね」
と私は伝えておくようにしています。 - 準備をする
同卓予定者やボドゲ会参加前に
持っていく(インストする)ゲーム名を主催者参加者に伝えておくと
フォローが望めたり、参加者が予習してくれる可能性があります。
準備の内容については次項に詳細記入します。 - インスト動画を見てもらう
正直なところ、インスト動画があるとこれまでの懸念点がほぼ解消されます。
ただ、ほとんどのゲームで売るためのPR動画はあれど
見ればそのまま遊べるインスト動画というのはなかなかありません。
当店では店舗棚のゲームのリストと、そのインスト動画を一覧表にして公開しています。
公式以外でも有志で動画を作成し公開して下さっている方々ありがとうございます。
インスト要図
ボドゲのインストに関する事を図にまとめてみました。
記事一番下のリンク先や、当店に遊びに来て下さる方々からのお話や工夫を反映しています。
大枠の左側がプレイする当日までにできること、右側が当日に関係することです。
軽ゲーやパーティゲーよりのボドゲなら左枠の準備に気負うことはないのですが
中~重ゲーになってくると左枠の準備が響いてきます。
よほどのベテランの方でもその場開封の重ゲーを皆が楽しめるようにインストすることは困難だと思います。
とはいえ、全てのゲーム前に左枠の準備を万遍なくやっていたら参ってしまうので
インストするボドゲの複雑さやメカニクスによって使い分けることになると思います。
事前準備できる小道具としては、印刷したサマリーがとても効果が高いです。
インスト者の負担軽減やインスト時間短縮で快適にゲームが始めやすくなります。
「(ボードゲーム OR ボドゲ) (サマリー OR レファレンスシート) -レビュー <ボードゲーム名>」
で検索すると探しやすいです。
ボドゲの日本語化やサマリーその他インストや快適なプレイを支える創作物を
公開して下さっている方々がおり、頭が下がる思いです。
※筆者が存じている公開者の一覧は記事一番下に掲載
また、自分だけが見るカードやタイルを伏せてその都度裏返して確認とかせずに
常に自分だけが見られるようにすることも参加者のゲーム快適理解に繋がってきます。
当店のボードゲームグッズのカードスタンドや衝立がその解消に役立ちますので
是非ご利用ください☆宣伝☆
インスト時はなるべく盤面上で駒やタイルを動かしながら視覚的にゲームの流れを共有しながらの
説明をすると聞いている人のイメージに繋がりやすいです。
説明書は1冊だけで、説明書内に書いてある絵はインストを受ける人には伝わらないので
実際に手を動かして見せることで同卓者間の理解の差も縮める事ができます。
(施設カードをドラフト、と聞いてもすぐ理解できる人と、
ドラフト?施設カードってなんだっけ?の差が発生する)
最後に
自分がやりたい・面白いと思っているボドゲのインストをして
同卓者が楽しんでくれることは純粋にプレイするのはまた違う領域の楽しみ方が加わるので
ボドゲに慣れてきた方はチャレンジする価値ありです。
こんなこと書いておいてなんですが、私はインスト練度はまだまだで苦手意識もあります。
店舗棚にあるボドゲのうち満足いくインストができるものはまだまだ限られているので
機会みて精進できればと思っています。
この記事も自分の頭の中を整理するために書いている面もあります。
CoLaboでは、持ち込みボドゲのインストがスムーズにいくように
調査やプレイを快適にする数々のグッズを用意することが可能です。
プレイ模様を記録したい方には卓全体俯瞰録画装置もあります。☆宣伝☆
当店は開店以降頻繁にオープンボードゲーム会を開いてくださる方々
様々なボードゲームの持ち込み&インストしてくださる方々
インストする人をサポートしながら寛容にボードゲームを楽しんでくださる方々
に恵まれここまで歩んでこられました。
尊敬と感謝の念を抱いています。
ご精読ありがとうございました。
サマリー公開者(敬称略)
BoardGameJPRules
逢魔時
びーている
西早稲田親子ボードゲーム会
社の家アーカイブス
えりえり(twitter)
いいせき(ボドゲーマ)
ボードゲームかくて庵
サマリー公開者の情報お持ちの方は @CoLabo_jp に教えていただけると幸いです。
参考サイト
ボドゲーマ
Board Game Geek
ボードゲーム 大ちゃんのルール部屋
ボドゲニスト
JELLYJELLYCAFE – ボードゲーム用語集
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