ボードゲームスペース創業経験記

はじめに

私は千葉県木更津市で2020年にボードゲームスペース「CoLabo」を始め、2024年に事業譲渡をしたものです。
ものづくりを嗜んでいたので3Dプリンターとレーザーカッターも使えるボードゲームスペースとしてスタートしました。
※コロナ禍で断念しましたが(私が保有している)LEGOでも遊べるというのも創業計画書にはありました。

技術畑なので開業前に商売の素養として木更津商工会議所のらづbiz創業塾に通ったり中小企業診断士の受験(二次財務で落ち(^^;)をしました。
事業者としては若輩者ではありますがある程度の経験は積めたので、忘れたりデータが消える前に書き残しておこうと思いました。
本記事がこれからボードゲームカフェ・スペースを開こうとしている方やこれから発展させていきたい方の少しでも足しになれればと思います。

ボードゲームスペース要素分解

下の画像は私が創業準備から一定の期間までに作っていた
ボードゲームスペース業を要素分解したマップです。
・自店舗をどういう価値あるお店にしたいのか
・市場分析、周辺環境、競合を加味して自店は何を強みにしていくのか
を考えやすくするための目安として。

金銭面

開業準備・設備運転資金全て自己資金です。
居抜き物件で内装一部と照明空調全刷新、テーブル高機能チェア家電ノートPC工作機器ボードゲームなど諸々で開業に300万円ほどかかりました。
2019年当時、飲食なら1000万、それ以外なら500万が充分な開業資金の目安として言われていました。
※2025年の今だと物価高で1.5倍以上になっていそうですね。

「2年間全くお客が入らず固定費を払い続けても耐えられるくらいの余裕はあった方が良い」
とのことなので事業用口座も300万ほど余裕もたせていれておきました。
コロナ禍と重なり半年ほど様子見で開店延期したので固定費だけ払い続ける期間がありましたが
家賃が安い物件だったのと動力電源の契約をしなかったので大きな負担にはなりませんでした。

仮に充分な手元資金がなかったとしても補助金・融資・支援金など色々あったりします。
(それ以外にも色々相談に乗ってくれるので)開業する地域の管轄商工会議所への相談をしておくことをオススメします。

上手くいったこと

  • 物件は最重要とのことで
    半年以上かけ、商工会議所主催の内見ツアーのおかげもあり良物件と出会えました。
    非スケルトンでボドゲ+工作スペースとしての充分な広さ(23坪)
    木更津駅前徒歩2分、複数の学校の通学路沿い、家賃5万円
    スケルトン物件を位置から手がけるのは(よほどの商圏でない限り)止めた方がいいです。
  • テーブルサイズ
    150×90(45+45)cmと90x90cmで高さは72cmに統一
    柔軟にレイアウト変えたり掃除がしやすいように全テーブルロック機能付きのキャスターにしました。
    大体のゲームで奥行き90-100cmが中央盤面や相手のプレイヤーボードを見るに程良いと判断しました。
    (一応大きく広げられる180x120cmテーブルも用意)
  • 長時間座りっぱになるボードゲームですが
    全席高機能チェアにしたことで快適に遊んでいただけ評価いただけました。
    私自身がデスクワーカーとして椅子にはとても拘っていますし、人生の先輩方を見るに一度腰痛癖になると大変そうなので・・・
  • ボードゲームグッズの一般販売を軌道に乗せられたこと
    元々インサートの依頼を受けたり自店舗で使うためのグッズは作っていたのですが
    きっかけをいただけたりば工房様に感謝です。
    スペース業は赤字にならない程度でいいか、という感じでゆるりと進められました。
  • 店内ボードゲームグッズをとても充実させることができました。
    ボードゲームグッズはゲームまたいで使い続ける事ができます。
    お客様がもってくる必要が全く無いくらいまで整えることができ、プレイの快適性に繋がったのかなと思います。
    嵩張るマットやトレイ関係、重いチップやコインなど。
  • 本来ボードゲームスペースとしてルール説明が重要な差別化要素でリソースがかかるところですが
    大変恵まれたことにボドゲを所有し、かつルール説明に磨きをかけているお客様が多かったため
    予約営業制ということもあり私は店と価格帯の維持にリソースを注力することができ感謝です。
    これは開業前には知らずにたまたま結果的に恵まれていただけです。
    開業する人は事前に地域のボドゲコミュニティについて調べたり参加していたほうがいいかもしれません。
  • コロナ禍ということで周辺の飲食店様はお弁当に精を出していたので
    1階の矢那屋含め近隣飲食店様と良好な関係や貢献できるよう店内からの案内を載せたり
    お客様から注文まとめ私自身が弁当を取りに行ったりしてみました。
    結構大変ではありましたがやって良かったかなと思っています。

苦労・反省

  • せっかく複数の学校の通学路に面した駅前に店を構えたのに様々な事情があり予約営業制から変えられませんでした。
    苦労して見つけた良物件を活かせてないじゃないかと悶々としていました。
    自分は雇用主としての適性はないので、そのために人を雇うのもなあという感じになり事業譲渡して託すことにしました。
  • 予約営業制ということもあり看板含めSNS以外ほぼ広告宣伝しなかったので
    地元のボードゲーマーにも開店後数年経って始めて発見されるなどありました。
    もっとアピールしても良かったかも?と反省しています。
  • ビルが結構古く、元々あった埋込型エアコン取付スペースそのままにエアコンを全刷新したものの
    配置が偏っていてしかもお互いのセンサー部に空気を送りあって滞留してセーフモードに入り易かったりしたので
    高出力のサーキュレーターを間近に置いてフロア全体に流れるようにしました。
  • (学生を対象とした)ボドゲ体験会や大会など開いた方が良かったかもしれません。
    親御さん的にもスマホガチャゲーに嵌まられるより安心でしょうし。
    せっかく用意した卓上撮影配信設備も活かす機会を作れなかったです。
  • 店内のボードゲームとルール説明動画(製作公開者に感謝)の一覧表を作成公開してみたもの
    そもそも店にルール説明をしてもらいたいという客層の方が来ることが少なかったり、
    とりあえずやってみたいという人は軽ゲーやカタンなどのド定番を望まれるのもありあまり活きませんでした。
    でも作っておくと大体のボドゲカフェやスペースでは役に立つはず。

他店舗様で実施できそうな工夫

  • ボードゲームのルール理解増進準備
    何より大変かつ醍醐味、スタッフの腕の見せ所なところなので
    お客様の理解が進みやすいように
    公開してくれているサマリーを印刷して同封しておいたりなければ自作するなど
  • ボードゲームルール説明動画の活用(なければ作成)
    店内にあるボードゲームに対し予習復習含め膨大な時間がかかるのと
    いざ実施するとなると複数テーブル同時にはできなかったりします。
    商業圏的に人を雇うのが大変だったり、調理含めワンオペでやっているところほどメリット多いと思います。
    (ルール説明動画公開者へのチャンネル登録やいいねを忘れずに)
  • 柔軟な営業時間
    稼働率が大事なので平日予約無しの通常営業は(周辺の学校が終わる)15時~
    3~4人以上の予約確定があれば11時からでもOKとか。
    近隣の交通事情や飲食店が混雑する場所の場合は敢えて30分ずらした12時半営業開始とか。
    飲食に自信があるカフェなどは12時からランチのみ受付ボドゲプレイは13時から~
    というのを行えば、ボドゲ会前に昼食をとってくるお客様(私もその一人)が自店で食事し、
    食べながらゲームプレイを回避できるかもしれません。
  • ボードゲームのプレイや結果の記録体制(希望がある場合)
    卓上カメラがある店舗では希望があれば録画して渡してあげたり
    パーティゲーではないゲームは版用スコアシートにプレイヤーと点数だけでも記載してもらい
    店で記録しておいてあげるなど

最後に

ボードゲームスペースは場所・椅子・テーブル・ボードゲームがあれば始めることができるので参入障壁は相当に低いです。
(調理や酒類を提供するカフェになると敷居が一段高くなります)
いずれにせよお客様に来てもらうための周知や、リピートしてもらうための差別化に取り組むことになります。
人が多い地域ほど良いかというと、その分家賃が高かったり複数卓対応のために人を雇い
料金に反映しなければならないなどの面があります。
私は全くできませんでしたが、スペース業は営業時間内の稼働率がとても大事なので広告宣伝には力をかけた方がいいと思います。
基本的に大儲けできるビジネスモデルではないため
(自分の思い入れがある地域で)、趣味で楽しいかつ健全な遊びを商いにしている満足感をベース
+αの差別化のための工夫(ルール説明・料理・ものづくり・イベント)無理なくこつこつやれる方に向いていると思います。

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