アニール処理比較検証
Nature3D様のPLAアニール処理の記事を読み興味が湧きました。
- (火にかけない)調理器具や、食器食具を作る上で耐熱性
- 機械部品や治具を作成する上で機械強度
それぞれ重要で特に熱はPLAの弱点とも言える要素なので
家庭用電子オーブンで可能な処理で改善されるのなら喜ばしいことです。
当記事ではひとまず知りたい事をざっくり列挙してみて、
フィラメントやスプールが用意できて出力できたものの結果から逐次更新していこうと思います。
検証内容
条件
密度(infil)による差:25% 50% 75% 100%
線幅による差:0.2mm,0.3mm,0.4mm,0.6mm,0.8mm・・・3.2mm
フィラメントによる差:三菱ケミカルメディア:Verbatim,Nature3D:LFY3M、(Nature3D:LFG30)
※LFG30は交換スプールが用意できていないためまた後日
知りたいこと
- 形状がどの程度変化するか
- 漏水の有無
- 強度がどの程度向上するか
検証結果
1.形状変化
アニール処理にかける3Dプリント出力物
今回は下記の物を全てinfil100%で出力しました。
両フィラメントの設定の違いはノズル温度のみです。
- オリジナルコーヒーカップ(板厚2.4mm)
- 店舗の壁際カーテン留め具(板厚1.6mm→4mm変化構造物)
- 幅100mm x 奥5mm x 高10mm の棒形状
- 線幅0.2-0.3-0.4-0.6-0.8-1.0-1.2-1.6-2.0-2.4-2.8-3.2[mm] 高10mm
- ミニスパナ(LFY3Mのみ)
Vervatimの棒形状に8mmの反りが発生してしまいました。
コーヒーカップ取っ手下部のオーバーハングや取っ手上部の橋渡しの部分も
無事綺麗に出力できていました。
アニール処理後
両出力物とも余熱有り100度で20分処理しました。
耐熱トレイに乗せました 温度は100度、時間は20分 アニール処理後の 線幅と帽形状検証 ←Vervatim →LFY3M アニール処理後のカーテン留め具 ←Vervatim →LFY3M アニール処理後の コーヒーカップ横面 ←Vervatim →LFY3M アニール処理後の コーヒーカップ上面 ←Vervatim →LFY3M
LFY3Mはアニール前後で形状の変化は見られませんでした。
細い線の積層物でも崩れがなかったことは驚きました。
棒形状の長さが100.5mm→100.1mmに縮んだくらいです。
対してVervatimの方は見た目で明らかに変化があり、
厚さに変化があるカーテンストッパーは機能性を損なうほど変形してしまいました。
画像ではわかりにくいですがコーヒーカップも違和感覚えるほど歪んでしまっていて
また足の部分も歪んでカタカタ揺れるようになってしまいました。
2.水漏れの有無
両フィラメントで出力したコーヒーカップとも
アニール処理前後で水を満杯にいれた状態で一晩おいてみましたが
水漏れは一切ありませんでした。
LFY3Mの方はアニール処理後に若干灰色に変色していました。
さていよいよコーヒーカップ本来の役割であるコーヒーを煎れてみます。
アニール処理の100度20分で大丈夫だったので問題ないはずなのですが
熱で少しでも歪んだらそこからコーヒーが漏れてくる可能性もあるため
ドリップパックに熱湯を注いで確認してみます。
問題なくコーヒーを煎れ、味わうことができました!
電子レンジでの600W1分の温め直しや食器乾燥機への投入も大丈夫でした。
ひとまず自分で使う分には問題なさそうです。
(くり返し使っていくことで問題が発生する可能性はあります。着色は免れなさそう・・・)
あとがき
Nature3DさんのLFY3Mのアニール処理適正を確認することができました。
スライサー設定はVervatimの設定からノズル温度だけを変えたものでしたが
満足いく出力となりました。
設定最適化していけばよりよくなっていきそうです。
今回の記事を書いていくうえで一つトラブルがあり、
LFY3Mでミニスパナ出力→しばらくしてから検証用出力物造形
の際にフィラメントが送りチューブ内で折れてしまうことがありました。
今回使用したAdventure3内にフィラメントの曲げ半径が40mmの箇所があり
この部分で時間おいたフィラメントが送り出された際に折れたのだと思います。
フィラメントの取り回しが窮屈なコンパクトタイプの3Dプリンタで使う際
使い終わったらフィラメントを回収しておくなどの注意が必要かもしれません。
ともあれ、アニール処理による形状変化が抑えられたPLAを知ることができ
3Dプリンターの楽しさがまた一つ広がりました!